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海外で働いてみよう!    トラジャルインターンシップ    http://www.trajal-internship.jp/ 


by intern5
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Smile

重い話を続けます。

前にパスポートの色の話をしましたね。

実は色だけでなく、世界的にランクという物がきちんと定められているらしく、日本はやはり一番高いランクの国の一つであるそうです。

物の品質の高さ!教養の高さ!経済力の高さ!!まさしく3K!

そりゃー、そうだろうな、と冷静に他の国の比べても、そう思う事がやっぱり多い。

フロントでよく働いていると、お客さんに、君、何人?と聞かれる事は大変良くある。

そもそもお客様は日本から遠く離れたこんな僻地の砂漠のドバイくんだりでわざわざ働いている奇特な日本人が働いていると思わないので、見かけだと、大体フィリピン人だとか、中国人とかを想像するようなのだ。
「日本人なんですよ。」
というと、お客さんの顔は明るさと驚きで包まれる。
「日本!!」
そうして大体こんな感じに続くのだ。その目は敬意の眼差しにまで満ちているくらいだ。
「日本は最高に美しい国だよ!!僕が昔言ったのは京都と東京と大阪で・・・」
なんてかんじに。

私はドバイに来る前は、そうは言ってもやっぱり反日の人は多いと思っていて、蛇つぼみたいなのを抱えた人とかに、「この、クソジャップがーー!!」とかいって追いかけられたり、アラブじゅうたんを投げられたりするのを想像していたので、正直、それは安心だった。

日本人という事で、見下されるという事は全くなく、同僚も、ビッグなボス達も、私の事をホテルの唯一の日本人ということで特別な目で見ているのがわかる。敬意を払っているという感じだ。レア物扱いとも言える。

私の今のマネージャーはドイツ人なのだが、昔、日本で働いていたこともあり、やはり親日で、私に割と目をかけてくれているのだが、その原因は私の仕事ぶりや性格よりも、私が日本人であるところが多いと思う。

日本人というのは本当に特別な存在なのだ(バリとかハワイではそうはならないだろうが・・・)

しかも、こっちにいる日本人の大半は、大体、電気関係の技術者とか、日本食のシェフとか、技でお金をいっぱいもらって働いている人なので、逆に、現地の人と、誰でも(というより何人でも)出来るような仕事をし、現地の給料で細々と働くなんて(それも日本でも出来るような仕事で、日本の5分の一の給料で!)まさしく、奇人変人、ナンセンス100%。技術者の人は、あまり人前に出ないし、シェフの人も裏方、他に日本人がいても英語力は崩壊レベル。日本人と、アラブで話せるというようなことはまさしく、超レア。要は、微妙な田舎にある、ふれあい動物園のウサギのような存在なのである。

始めはそういうのがとても嬉しかったのだけど、最近はそうでもない。

ひねくれすぎだとは自分で思うのだけど、やっぱり素直に喜べないのは、ドバイにいる私の友人達の多くには、「へえー!君、◯人なんだ!!美しい国だよ、あそこは!」と、言われる機会は無いんだろうな、と思ってしまう事が大きい。フェイリピン人とか、インド人とか、ドバイにはいっぱいいすぎて、今更、もろフィリピン人!という人には、誰も、「君、何人?」と聞く事は無い。

私は日本で生まれたけど、それはたまたまで、私の選択ではなかったのだ。産まれたらたまたま日本だっただけだ。私が頑張ったせいではない。もしかしたら、私が産まれていたのもフィリピンやインドだったかもしれないのだ。それはそれで、悪い事ばかりではないと思うけど、はっきり言って、誰かが、次はインドと日本、どっちに産まれたい?と言われて、絶対インドだね!というインド人はあんまりいないと思う。いたとしても富裕層だけだろうとも思う。

私の今の正社員の給料は、実は五万円にも満たない。安すぎだろ!って文句ばっかり友達と言っているけど、その安すぎの給料目当てで来ている人が大半だし、45度の炎天下の中で、一日中、月に一万円程の給料で、ホテルの庭を整えていたり、窓を拭き続けるインド人、パキスタン人は、ドバイのいたるところにいるのだ。熱射病で死ぬ人なんて山ほどいるだろうと思う。人権を問われるような扱いだが、どこのホテルも会社もやっている事だ。そうして、その一万円でさえも欲しくて、それで働いている人達もごまんといるのだ。人種差別撤廃なんて綺麗事だ。彼らは西暦の2000年が過ぎても、まだ、世界の奴隷だ。

日本の刑務所の囚人や、ホームレスなんかより、もっと酷い。

私がここにきた時、美しさに息をのんだ庭園は、そういう人達の汗と血と涙で出来ていて、日本庭園のように、庭園を愛する人に寄って造られた楽園なんかではちっとも無いのだ。

時々、ここは地獄だと思う。

ちなみにスリャワンなんかの話も明確で、何人と聞かれた時に、「インドネシア人です」と答えると、ふーん、と言われるが、「バリです。」と言うと、「わーお!!君はなんて美しい国から来たんだ!」という、日本人と同パターンになるらしい。

去年に言ったトルコの素晴らしさが忘れられずに、実は4月に再度トルコ遠征にめぐたんと行って来た。旅はいつだって最高だ。私は一生旅がやめられる気がしない。心の打ち付ける、あの衝撃。それを癒す、甘美な日々の小さな、特別な出会い達。ビザ要らずに旅行できる事なんてうっかりすると当たり前だと思ってしまう。

トルコから帰って来たとき、私は夢中になってスリャワンに話した。トルコの人がいかに優しい人達なのか。街角の風景がどんなに美しいか、自然遺跡で受けた感動、料理がどんなにおいしくて、私がどんなにトルコで笑顔に溢れていたのか、全部、全部。でも、スリャワンは時々不安そうな顔をして聴いていて、私の話が終わると、少し考えて彼はこういったのだ。

「僕たちは、もしかしたら別れた方がいいかもしれない、って時々思うよ。」
「えっ?!なんでそういう話になるの?どうして??なんで??」

彼がなんて答えたか、想像できますか?
彼は何の迷いも、絶望も無く、さらりとこう答えたのです。

「僕は、インドネシア人だから。」

その意味が、わかりますか?

インドネシア人は海外旅行なんて簡単には出来ないのです。全然出来ないのです。

私がやりたい事をやって奔放に振る舞えば振る舞う程、私が私である事で、私は彼の心を酷く傷つけていた事に、私は初めて気がついたのです。それでも、私はいっぱい旅行する事を諦められない。この足で、もう何処もいけないと思うと、怖くて、頭がおかしくなりそうだ。痛く無いはずなんか無いのに、さもさりげない風に彼は言った。私は自分の愚かさが憎くて、どぅどぅ泣いた。私が彼にそう言わせ、しらしめたのだ。

「嘘だよ、冗談だよ。泣かないで。ほら、トルコの話をしていた時には、あんなに楽しそうにしていたでしょう、ほら、笑って笑って、えーっと日本語でスマイルってなんて言うんだろう。あれ、日本語の辞書、どこだっけな〜。」

悪いのも、身勝手なのも、いつだって私なのに、いつも私はこの人に助けられてばかりいる。

「えーっ、スマイル、スマイルは〜・・・日本語で・・・あ、あったよ!」

それでもドバイは今日も晴れだ。

「笑顔!」

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by intern5 | 2010-08-17 04:11